Date

2020年9月9日

Venue

オンライン

土木と教養


第IV部門 2020年9月9日

土木と教養
座長:小池 淳司(神戸大学)

[IV-60] 土木計画における数理モデル学習と教養
〇田中 皓介1 (1.東京理科大学)
キーワード:効用最大化、合理的選択理論、プライミング効果
土木計画学が目指すものは,インフラ整備を通したより善き社会の実現に資することであろう.整備するインフラが過大ないしは過小なものにならぬよう,事前にモデルによる予測を行うのであり,これまでこの分野で積み重ねられてきた費用便益分析や効用最大化理論に基づく離散選択モデルといった技術はそのための強力なツールである.そうしたツールに頼るか否かにかかわらず,適切な価値判断ができるということこそ教養である.ただし,人間の価値が単一の指標に還元することのできない複雑なものである以上,過度に単純化した価値判断は教養とはいえない.本稿は大学講義による数理モデル学習が,教養に及ぼす影響を考察するものである.

[IV-61] 教養と土木の関係性及び教養の獲得方法としての漫画に関する一考察
〇松本 浩和1 (1.株式会社地域未来研究所)
キーワード:教養、土木計画、メディア、漫画
本研究では、教養と土木の関係性について論じ、土木に関連した教養の獲得方法の考察を通じて、よりよい土木のあり方に資する知見を得ることを目的としている。様々な文献における教養の定義を整理し単なる知識ではない教養が示す広範な概念を整理するとともに、土木と教養との関係性を論じる。また教養獲得のために想定される手法と教養を獲得する対象について整理し、その一手法としての漫画の活用可能性について具体例を通して考察する。

[IV-62] 土木計画学における事実と価値
〇泊 尚志1 (1.東北工業大学)
キーワード:政策学、意思決定、事実、価値
本稿は,「土木計画・学」を改めて「政策学」の領域として捉える1)という議論に際して,この領域で求められる各種の「解」に相当するものが,事実と価値の観点からどのように理解されるべきものかという非常に基礎的なかついわば当然の議論について改めて取り上げることにより,講演時に二,三の簡単な論点を提示することをねらいとしたものである.本稿のタイトルが,その内容に対して非常に大風呂敷を広げたものになっているばかりか雑駁な内容となっているが,セッション参加者および読み手の皆様にご容赦いただきたい.

[IV-63] 教養の本質は「多様な人生経験」であり、「インフラ政策」において絶対的に不可欠である。
〇藤井 聡1 (1.京都大学大学院)
キーワード:教養、土木計画学、インフラ政策学、可能態、実現態
教養とは、単なる知識とは異なるものであり、教え養われ獲得されたものを意味する。したがって、その習得は単に学校教育だけで身につくものではなく、ありとあらゆる経験を通して獲得されるものである。そして、こうした経験があって始めて、他者の気持ちや思いを推し量ることが可能となる。したがって、道路や港湾、堤防などの我々の社会の基礎的なインフラを、その上で暮らす人々の気持ちや幸福を慮りながら作り上げていく、インフラ政策を展開するにおいて、そうした教養が必要非可決となる。さもなければ、そのインフラによって人々の暮らしや幸福が如何に変化するかを何ら理解できなくなるからである。