Date

2020年9月9日

Venue

オンライン

土木における実践の学


2020年9月9日 第IV部門

土木における実践の学
座長:藤井 聡(京都大学)

[IV-54] 効率性と公平性の視点からの地域交通の性能とサービスの定義と運用の検討―大野城市コミュニティバス「まどか号」の例から―
〇松永 千晶1 (1.福岡女子大学)
キーワード:インフラ政策学、地域交通、公平性、効率性
本稿は,大野城市のコミュニティバス「まどか号」の見直し事例紹介を通じて、「地域交通の効率性と公平性を決める性能・サービスとは何か?」,「効率性と公平性を満たす地域交通サービスの最適化の方法とは?」という問いに対し,地域交通サービスを対象とし,「効率性と公平性を満たすサービスのあり方の検討」を目的としたものである.その上で,交通工学,交通計画学さらに厚生経済学や公共経済学の観点からその性能・サービスと効果を定義した上で,定量化を試みる必要性を述べたものである.

[IV-55] 利用者視点の多様性に着目した交通空間設計の実践における新たな課題
〇稲垣 具志1、秋山 哲男1 (1.中央大学)
キーワード:土木における実践の学、空間設計、利用者の多様性、道路設計、空港、ユニバーサルデザイン
公共の交通空間を設計するには空間の利用者の多様性にいかに対応することができるかが重要となる。特に移動に配慮が必要となる高齢者、障害者等を含めたすべての利用者の安全と円滑を確保するためには、設計者はそれぞれの立場における問題点やニーズをとらえ、総合的に一つの公共空間をつくることが求められる。本稿では道路空間、公共交通空間における具体例を示しながら、今後の道路空間設計における実践上の課題について示す。

[IV-56] 地域観光政策の現状と課題
〇栗原 剛1 (1.東洋大学)
キーワード:観光政策、地域観光、DMO
本稿では,インフラ政策学の研究対象のひとつである地域観光政策をとりあげ,わが国の地域で取り組まれている地域観光政策の現状と課題を整理し,今後の地域観光政策のあり方に対して問題提起することを目的とする.現状では観光政策をおこなうことで地域にどのような効果が期待されるのかを十分に検討されているとは言い難く,その点に地域観光政策の課題があると考えられる.現在,DMOには必須KPI以外のKPI設定は任意となっているが,その制度がDMOの観光政策立案・評価とミスリードしている恐れがある.そこで,観光施策一つ一つに対応するKPIを独自で設定することを求めることが有効であると考えられる.

[IV-57] 地域公共交通分野の「実践知」と対話プラットフォームの形成
〇吉田 樹1 (1.福島大学)
キーワード:地域公共交通、実践知、対話プラットフォーム
地域の交通課題を解決する手法は,場所に応じて編集しなおすことが求められ,既往の研究成果や計画技法を「そのまま」適用させることが難しく,実践に基づく研究成果が個別事例の報告に止まるケースも見られる。一方,典型的な被規制産業である地域公共交通分野は,ステークホルダーが参画する法定協議会制度が確立されており,ローカルな取り組みから「実践知」を形成することで,国全体の政策にインパクトを与え,より佳い社会に向けた漸次的な改善に寄与することも期待される。本稿は,地域公共交通に関わるローカルな取り組み事例から「実践知」とステークホルダーとの対話プラットフォームを形成するために求められる観点を検討する。

[IV-58] 実務者の視点から、土木計画学・インフラ政策学を考える
〇白水 靖郎1 (1.中央復建コンサルタンツ株式会社)
キーワード:土木計画学・インフラ政策学
土木計画・インフラ政策の実務において,定量的評価は必要条件ではあるものの十分条件ではない.また,精緻なモデル理論よりも,前提条件の考え方や勘と経験に根ざした評価が重要になるケースも多い.本稿では,建設コンサルタントという筆者の実務経験に基づき,これからの時代に求められる「土木計画学・インフラ政策学」の意義とあり方について意見を述べたい.

[IV-59] 大規模自然災害後の交通サービスマネジメントに関する実践的考察 〜平成30年7月豪雨の広島〜呉間の交通マネジメントの実践から〜
〇神田 佑亮1 (1.呉工業高等専門学校)
キーワード:大規模自然災害、交通需要マネジメント、災害時BRT、リスクマネジメント
平成30年7月の西日本豪雨災害は,広い範囲で同時に発生した土砂洪水氾濫により深刻な被害をもたらした.広島都市圏では,高速道路を含む幹線道路や鉄道が各地で寸断した.筆者らは,交通関係行政機関や公共交通事業者と連携し,全国初の「災害時BRT」をはじめとした,速達性・信頼性の高い発災後の公共交通サービスの確保をはじめとした交通マネジメントに主体的に携わった.本報告では,特に施策展開や施策展開の判断等の実践の経験から,今後の大規模自然災害後の交通障害への対応に備え,交通サービス確保に向けたマネジメントのあり方について述べる.