災害関連調査情報


災害時における土木計画学研究委員会に関連する調査・対応関係の情報を随時掲載します。

本ページの内容については、ip-bousai@jsce.or.jp にお問い合わせをお願い致します。

災害発生後の調査に関する注意


災害時の情報は以降の災害発生での被害拡大を防止するために重要な資料であることから、災害発生直後に調査へ赴く研究者は多くいらっしゃるかと思います。現地調査では、現地の行政担当者等のカウンターパートへのヒアリングや実地調査で協力をお願いするケースも少なくないかと思います。

しかしながら、多数の研究者が個別に調査のために現地のカウンターパートの貴重な時間を割かせれば、復旧や復興事業の遅れを招きかねません。実際に過去の災害被災地でも研究者に対して不信感を持つ行政担当者も少なくありません。災害時の現地調査等につきましては、現地カウンターパートの負担に十分な配慮をお願いします。

例えば、取得したい情報が時間経過により散逸しにくいものについては、災害後適当な時間が経過してから調査する、自身で取得可能な情報は現地カウンターパートが介入しない方法を検討する、同じカウンターパートへの類似のヒアリング調査等を避けるよう研究者間で調整するなどの方法が考えられます。

災害に係る研究者の品位の維持、なにより被災地の復旧を妨げないために、どうかご協力をお願い致します。

(2023年6月1日公開)

〇令和6年能登半島地震対応特別プロジェクト

2024年1月1日に発生した能登半島地震を受け、2024年2月に土木計画学研究委員会では「令和6年能登半島地震対応特別プロジェクト」を立ち上げた。今後は、被災地の状況に応じながら、下記に示したミッションに基づき、プロジェクトを進行していく。

本特別プロジェクトのミッション

  1. 被災地域・地元大学の側方支援・技術支援
  2. 即応的な対応策の検討および実施機関への提示
  3. 被災・復旧・復興に関する共通知見化(災害現象の理解のため、将来災害に備えるため)

なお、1. 2.については、関連組織と円滑な関係を築きながら、進めることに留意する。また、3.については、1)土木計画学研究発表会春大会での調査速報の報告、2)論文での報告、3)提言や報告書、報告まとめHPでの掲載、という3つの段階が想定されるが、まずは、1)を念頭において、各WG・各班で調査を開始する。また、適当なタイミング・可能な範囲で、収集データをオープン化する。特に、被災地域への調査分析結果の還元と適切な情報共有を行うことが、1-3のいずれの段階においても重要であることを意識しながら、プロジェクトを推進する。

本特別プロジェクトの体制

土木計画学研究委員会の委員長(多々納裕一(京都大学))、副委員長(柿本竜治(熊本大学)、山崎基浩(豊田都市交通研究所))、幹事長(福田大輔(東京大学))を中心に、特別プロジェクトを推進する。具体には、交通・インフラWG、経済・観光WG、避難生活・復興WGの三つのWGを立ち上げ、それぞれミッションの達成に向けた活動を推進する。

活動記録

2024年1月4日-18日:計画学幹事会執行部で意見交換開始
1月19日:特別プロジェクト初回会合(以後,毎週金曜朝9時より定例会議開催)
2月5日-6日:多々納委員長が学会本部主催の被災地調査団に参加
3月19日:富山大学にて特別プロジェクトメンバーらによる対面会合開催
3月18日-20日:被災地調査1
5月14日-15日:被災地調査2
5月25日:第69回土木計画学研究発表会にて特別セッション「令和6年能登半島地震対応特別プロジェクト・報告会」開催
11月16日:第70回土木計画学研究発表会にて企画セッション「R6能登半島地震-調査研究報告」,スペシャルセッション「R6能登半島地震-教訓と復興に向けて」開催

◆令和6年能登半島地震に関する特集企画のご案内(2025年5月26日)

土木学会論文集・特集号(土木計画学)

土木学会論文集・通常号(土木計画学:方法と技術)

土木学会論文集・通常号(土木計画学:政策と実践) 合同企画

 

令和6年能登半島地震では,石川県能登地方を中心に大規模な地震動および津波により,多くの地域で深刻な被害が発生しました.建築物や社会インフラの甚大な損壊,道路・鉄道網の寸断,空港・港湾の被害,広範囲に及ぶ断水・停電,さらには住民避難や孤立集落の発生といった,地域社会全体に重大な影響を及ぼす事象が多数確認されています.また現在も,人口減少が進む半島域での復興プロセスにおける様々な課題が浮き彫りになっています.

本災害は,災害対応や復旧・復興において,従来の枠組みでは対応しきれない土木計画的課題を浮き彫りにするとともに,地域の持続可能性やレジリエンスのあり方を根本から問い直す契機となっています.特に,地震後の長期避難,仮設住宅・医療・福祉の提供体制,交通・物流の代替手段,発災後・復興期における自治体間連携の在り方など,土木計画学分野においても重要な知見の蓄積と共有が求められています.

災害の記録と教訓を体系的に整理し,学術的な知見として発信することは,土木学会の重要な使命の一つです.こうした認識のもと,土木計画学に係る内容を取り扱う土木学会論文集である上記3分冊では,土木計画学研究委員会幹事会において本地震への対応を行ってきたメンバーが中心となって,令和6年能登半島地震に関する特集を企画いたしました.被害状況の記録,避難・支援活動の分析,交通・物流システムへの影響,復旧・復興政策の検討,将来に向けた制度設計など,土木計画学の視点から本地震災害に取り組む多様な研究成果のご投稿を広く募集いたします.

土木学会土木計画学研究委員会・令和6年能登半島地震対応特別プロジェクト

浦田淳司(筑波大学),梶谷義雄(香川大学),谷下雅義(中央大学)

樋口恵一(大同大学),福田大輔(東京大学),山口裕通(金沢大学)

 

1.投稿する分冊の選択に関する基本的考え方

  • 土木学会論文集・通常号(土木計画学:方法と技術),土木学会論文集・通常号(土木計画学:政策と実践),および,土木学会論文集・特集号(土木計画学)において,合同で論文を募集します.
  • 土木学会論文集・特集号(土木計画学)については, Vol. 81の論文募集(締め切り2025年6月20日)の一環として投稿を募集します.従って,投稿資格[1]や,投稿から掲載決定・刊行までのスケジュールは[2],Vol. 81のそれに準拠します.
    • 投稿画面において,査読カテゴリーとして「方法と技術」,「政策と実践」のいずれか一つを選択いただいた後に,さらに,「能登半島地震特集企画」への応募論文のチェックを入れてください

土木学会論文集・特集号(土木計画学)Vol. 81の投稿要領等はこちら

  • 土木学会論文集・通常号(土木計画学:方法と技術),土木学会論文集・通常号(土木計画学:政策と実践)については,いずれにおいても,特集企画への応募期限を2025年12月12日として,投稿を募集します.投稿資格,投稿から掲載決定・刊行までのスケジュールは,通常号のそれに従います.投稿時のEditorial Managerの入力画面「事務局宛てにコメントがある場合は入力してください」において,「本特集企画への応募論文である」旨をご記載下さい.
  • 以下のような状況においても,通常号への投稿は可能です.
    • (特集号 81の投稿資格はあるが)投稿期限までに間に合わない論文
    • 今度の秋大会(第72回土木計画学研究発表会)や講演等で発表予定の論文
    • 「論文」ではなく,「報告」,「ノート」としてとりまとめる予定の研究成果 等

土木学会論文集・通常号の投稿要領はこちら

 

2.特集企画としての成果の一体的な取りまとめに関する基本的考え方

  • 上記の3分冊のいずれに掲載されたかどうかにかかわらず,当研究会としての能登半島地震に関する研究・調査の成果を一体的に取りまとめて,総合的な形で公開・周知していくことが重要であると考えます.
  • そのような意図から,本特集企画に応募・掲載された論文については,各論文へのリンクを一体的にとりまとめた特設ページ(土木学会論文集(土木計画学):能登半島地震特集バーチャル企画)を土木計画学研究委員会ホームページの中に設け,研究成果の集約と一体的な公表を行います.
  • またその際,査読がなされていないような研究成果(土木計画学研究・講演集のみに掲載された研究報告等)に関しても,本特集企画の中で選定し,土木計画学研究委員会ホームページに一緒に掲載する予定です.

 

3.本件に対するお問い合わせ先

樋口恵一(大同大学),福田大輔(東京大学)

————————-

[1] 第68~71回土木計画学研究・講演集に掲載された論文のうち,当該発表会において,著者により発表が行われた論文(但し,秋大会に関しては,企画論文部門への投稿でかつ2ページ以上の文量の論文).

[2] 投稿から約1年後に刊行.