土木計画学におけるマクロ経済モデルの活用に関する研究小委員会


■小委員長
藤井聡(京都大学)

■活動期間
令和5年11月〜令和8年11月

■活動趣旨

土木計画学においては、国土交通省等によるインフラ投資の経済効果に関する評価は主として費用便益分析が用いられてきたが、便益計測にあたってはしばしば(SCGEやDSGE等の)一般均衡モデルが活用されてきた。このアプローチでは経済主体の行動原理、供給制約、地域間の交易などを明示的に扱うことができるほか、GDPや所得といったマクロ経済指標の変化を分析することも可能であるという実務的利点があるモデルと評価され、研究実務両面で活用されてきた。

一方で、フロー効果、ストック効果、財政効果の3つの経済財政効果をもたらすことが知られているインフラ投資には、財政再建と経済低迷の双方が重大な政府目標となっている今日の日本においては、次のような具体的効果を持つことが実務的に期待されている。

(効果1)フロー効果による「インフラ投資による短中期的・不況脱却」効果

(効果2)フロー効果・ストック効果による「インフラ投資による短中期的的・経済成長」効果

(効果3)財政効果の発現による「インフラ投資による短中期的・財政健全化」効果

しかし、一般均衡モデルではインフラ投資による短中長期的な「不況脱却」効果や「経済成長」効果を適切に評価することも、それらの効果を考慮して初めて算定可能な「インフラ投資による短期期中期的・財政健全化」効果を評価することも、できない。

これはそもそも一般均衡モデルは、第一にフロー効果を評価するモデル体系とはなっていないからである。そして第二に、上記の(効果1)~(効果3)はいずれも数年~十数年程度の「短中期」で発現するものだが一般均衡モデルは、そうした期間よりもより「長期」の効果を記述するものだからである。さらには第三に、「不況脱却」効果を把握するためには不況の数理的表現が必須であるが、一般均衡モデルでは不況を記述するものではないからである。

しかし、上記の(効果1)~(効果3)の諸効果は、均衡を前提としないバックワード・ルッキングなケインジアン型モデルであるいわゆる「マクロ経済モデル」を用いれば、評価することができる。このモデルの代表的なものは「経済財政政策」の実務検討において内閣府が活用している短期日本経済マクロ計量モデル等であるが、各種経済変数間の構造的関係を想定しつつ、そのモデル構造におけるパラメータ群を計量経済データに基づいて統計学的に推定し、それらに基づいてストック・フロー・財政の3効果等を時系列的に推計していくモデルである。このモデルはインフラ投資評価への活用事例は限られているものの、各パラメータに大きな変化が存在しない場合においてそのフロー・ストック・財政の3効果、ならびにそれを前提とした上記の(効果1)~(効果3)の予測が可能である。

そこで本小委員会では、これまで経済財政政策に主として活用されてきたマクロ経済モデルを、インフラ投資がもたらす(フロー・ストック・財政の3効果を中心とした各種の)経済効果の「評価」に適用するにあたっての適用条件や長所・短所を、これまで様々にインフラ投資の評価に活用されてきた応用一般均衡モデルとの対比を踏まえた上で「整理」することを研究目的とする。そしてこれを通して、今後のインフラ投資の評価において、応用一般均衡モデルとマクロ経済モデルの「適材適所」での活用にあたっての基礎的・学術的な知見を提供することを目指す。

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