多々納裕一委員長所信


2022年11月11日(第63回土木計画学研究発表会(琉球大学 千原キャンパス及び那覇市ぶんかテンブス館))

京都大学防災研究所の多々納裕一です。
この度は、土木計画学委員会委員長という重責を仰せつかり身の引き締まる思いです。
2年間という短い任期で何か成し遂げることができるかと考えますと大変心もとないのですが、皆さんとともに幹事や委員の皆さんと議論しながら、少しでも良い方向が目指せたらと考えております。

少しこの機会ですのでわたくしの本委員会への思いを共有させていただきます。まさに、
土木計画学研究員会は土木学会の調査研究委員会として1968年に「土木技術者の活動範囲において、土木に関する計画の分野がきわめて重要なる事態に鑑み、土木計画のあるべき姿、その問題点を検討し、あわせて計画に関する調査、研究を行うこと」を目的として設立され、以来活動を続けてきております。

私自身がはじめて参加いたしましたのは、つくば大学 昭和60年(1985年)の審査付き論文セッションでM1の時でした。発表をさせていただき、コメンテータの先生からいろいろアドバイスもいただきました。大変充実した計画学研究発表会へのデビューでありました。依頼、37年、土木計画学研究委員会をホームとして、そこで育てていただいたと思っております。

オーナーシップを持っていただけるような委員会にしたいですね。これが私のホームだと持っていただきたいわけです。おそらく皆さんが「土木計画学のあるべき姿」あるは「その問題点の克服」に向けて励まれている。その成果や知見を共有しながら、専門家としての自負と能力を獲得していくそんな場になっていることだと思っています。

計画を作ることや、政策づくりに貢献することを意図していても、モデリングや方法論のみを追求していてはその接点は必ずしも見出しにくい。このような認識から、「政策と実践」が論文集として取り上げられ、多くの皆さんの研究成果が共有されるようになってきたことは大変喜ばしいことです。

科学は、通説に異議を唱え、様々な仮説を検証して、進歩を遂げてきました。言い換えれば、科学は「失敗から学ぶ」仕組みを内包しています。我々は、コミュニティーから国家政策まで異なる階層の政策形成や評価、計画づくりものにもかかわるようになってきています。「政策と実践」論文集が実現したこのタイミングで、失敗から学ぶ系統的な方法が土木計画学の分野でも確立されることを期待する次第です。そのようにして改訂され、より確からしい知見をもとに市民貢献や政策提言が活発になされるそんな将来を夢見ています。

幸いにも、委員会の財政事情はわたくしが幹事長をしておりました当時と比べるとずいぶん改善しているようです。幹事会や小委員会などの充実に加え、可能なら皆で成果を共有しうるプロジェクトなどもできるかもしれません。

幹事の皆さんと相談しながら具体的なご提案ができればと考えています。これから後1年半よろしくお願いいたします。